エスケイワードが取り組むコーポレートアーカイブについて、先日、愛知学院大学様でオンライン授業を実施しました。
私は愛知学院大学・大学院文学部歴史学科の出身で日本近現代史を専攻していました。大学時代に博物館学芸員資格・教員免許を取得したこともあり、高校教員を経て、2020年からエスケイワードに入社しコーポレートアーカイブの仕事に携わっています。
母校の教授から「博物館学芸員資格を取得する講座の1コマでアーカイブの現場について学生に伝えてほしい」とご依頼をいただき、以下のような内容の授業をしました。
アーカイブって何だっけ?
- そもそもアーカイブとは何か?
- コーポレートアーカイブはどんなメリットがあるの?
- コーポレートアーカイブの現場はどんな感じ?
- コーポレートアーカイブの活用方法
学生さんはもうすでに「アーカイブ」について学んでいましたが、おさらいも兼ねて「博物館・美術館・公文書館などにおけるアーカイブ」と「コーポレートアーカイブ」の違いをお話ししました。また「コーポレートアーカイブとは何をするのか」「どんなメリットがあるのか」についても説明しました。
多くの学生さんは、アーカイブとは公文書館や博物館などの公共機関だけが「資料を整理・収集・保存するため」におこなっているものだと思っていたようで、企業もアーカイブをおこなうということに驚かれました。
コーポレートアーカイブでは、公文書館や博物館などと同様に「資料の収集・整理・保存」もおこないますが、それだけではありません。
収集された過去の資料から企業が作り上げてきた強みや価値の整理をおこない、得られた情報を未来の企業の経営判断や広報・宣伝など多岐にわたって活用できるサイクルを構築することまでが含まれます。
この部分は講義の中でも一番伝えたかった部分なので、実際の例を用いて説明させていただきました。
講義の後半部分ではコーポレートアーカイブの現場の様子を、受注から納品までの流れに沿ってお伝えし、活用例も説明いたしました。
※講義の詳しい内容については次回お伝えいたしますので、お楽しみに!
オンライン授業で工夫したこと
ウィズコロナの現在では、オンラインセミナーやオンライン商談など、これまでリアルでおこなっていた活動をオンラインでおこなうことが、企業にとって重要な取り組みになってきています。
しかし、コロナ禍において初めてオンラインに触れる方も多いかと思います。
開催者や講師にはある程度の慣れと創意工夫が必要だと実感しましたので、今回の授業を通じて得られたことを共有させていただきます。
対面式のセミナーや営業では、相手のリアクションを見ながら説明することができましたが、相手が画面の向こう側にいるオンラインではそうはいきません。特にセミナーや授業といった1対多数のコミュニケーションにおいて、オンラインでリアクションを確認するのは非常に難しいことです。
この状況を考慮して、相手のリアクションを画面越しでも上手く引き出すために以下のような工夫をしました。
資料切り替えも口調もゆっくりと
オンラインではネットワークの状況により音声が途切れたりする可能性もあります。また資料を画面共有して説明しているときに、資料がなかなか切り替わらない場合もあります。
画面を切り替えたら話しはじめるのを少し待つ、聞き取りやすいようにゆっくり話す。これらの心がけで、オンラインでも伝わりやすくなります。
カメラは常にONにする
これは当たり前と思われる方が多いかもしれませんが、スライドの画面共有をしていてもカメラはONにしておきました。これをすることで、「自分に話しかけてくれている」ということを意識していただけるよう工夫しました。
20分話したら1~2分ほどブレイクタイムをつくる
今回の授業は60分。話のメリハリをつけるため、学生さんがメモを取って内容の整理をする時間を設けるために、授業の途中で2回ほどブレイクタイムを設定しました。
話の区切りの部分ではチャットのスタンプ機能でコミュニケーションをとる
聞いてくださっている学生さんたちのリアクションを少しでも掴むために、話の区切りでは「理解できた方はチャットにスタンプか何かメッセージを送って反応してください」とお伝えしました。
学生のみなさんからとっても可愛いスタンプを送ってくださってほっこりしました。こうしてリアクションが見られることで、その後の授業の進行ペースも考えることができました。
受講生からの反応
授業後、学生さんにコーポレートアーカイブのイメージについてアンケートをお願いし、以下のような回答をもらいました。
一番よく目にしたのは、
- コーポレートアーカイブやアーキビストそのものを初めて知った
という回答です。
一方、授業を受けたことによって、
- コーポレートアーカイブの仕事自体に魅力を感じた
- アーカイブで資料を残しておくと、その資料をもとに「経営方針」「リスク管理」「製品開発」を考えられるなど、会社にとって有益な資料が取り出せるのでアーカイブの必要性を感じた
- コーポレートアーカイブをすることで、過去の資料を企業の発展につなげることができるとわかった
- アーカイブで整理した情報を公開することで、様々な人に企業を知ってもらうこと、興味を持ってもらうこと、さらに信頼度を高めることができるので、仕事の依頼や注文が増えるのではないかと思った
- 整理をしておけばどんどん増え続ける資料の中から必要なものを瞬時に取り出すことが出来るので、業務の効率化にもつながると思う
など嬉しい回答もいただけました。
今回の授業によって、「コーポレートアーカイブ」という言葉自体あまり認知されていませんが、説明する機会をいただければ、その必要性についてはみなさんにご理解いただけることがわかりました。
まとめ
この講義を担当させていただいたことで、私自身にとっても「コーポレートアーカイブとはなにか」「アーカイブの意義とはなにか」についてさらに理解を深めるきっかけになりました。
また授業を受ける前は、学芸員資格取得講座で学んだ知識は博物館や美術館でしか活かすことができないと思っている学生さんが多かったようですが、学んだ知識は一般企業にも活かせることを知ってもらえてよかったです。
オンラインでの授業は初めての経験だったので「どうすれば学生さんにわかりやすく講義をおこなえるか」、「どうしたら興味関心を持っていただけるか」模索を続けましたが、学生のみなさんからは「わかりやすい」「話しかけてくれているみたいだった」などとても嬉しいコメントをいただけました。
まだまだ「コーポレートアーカイブ」の知名度は低いので、今後も普及活動をしていく必要性があると思いました。そのためにも企業様向け・教育機関向けなど様々な方々に「コーポレートアーカイブの意義」を伝えるためのセミナーなどをオンラインでも開催していきたいと思います。
この記事を見て少しでも興味を持っていただいた方は、ぜひお問い合わせからご連絡ください!
企業様向けに、アーカイブを体験、実感できるワークショップ・セミナーも開催しておりますので、ご興味がある方はご連絡ください。